宇野千代「生きていく私」幸せか否か元祖肉食系女子

宇野千代の好きな桜

宇野千代、明治から平成まで駆け抜けた女流作家

宇野千代、女流作家

 私は、平成になったばかりの頃に大学生でした。そんな私世代にとっても、宇野千代という人はすでに「大昔の作家」という感じです。今、彼女の名前を知っている人ってどのくらい、いるのでしょう。

 「生きていく私」は、彼女が80代後半という、かなり高齢になってから発表した、自叙伝的随筆集。

 実は私が宇野千代さんの本を読んだのはこれが最初。そのあまりのおもしろさに、初めて彼女に興味を持ち、彼女の他の作品を読んでみたのです。「おはん」という小説でした。

本

 が、それ一冊しか読みませんでした。正直興味をそそられなかったからです。読む人を引き付ける文才はある。けど、「おはん」の内容は、たえて尽くす女の話で、「そうねー昔はそれが女の美徳だったんだろうけどねー共感は全くできないなー」という感じ。

 ところが、宇野千代さん自身は、昔の女としてはあり得ないほど思うがまま突っ走って生きた。それが描かれているのが「生きていく私」です。

「生きていく私」

元祖肉食系女子

 私の認識では、日本で、女性が結婚前に他の男性と肉体関係ありで付き合っても、とがめられなくなったのは、少なくとも第二次世界大戦が終わったずっと後、という感じ。

 が、宇野千代という人は明治時代に生まれながら、そんな常識なんのその、という感じで生きている。結婚も4度程しているのですが、その前、その間、その後もなのでしょうか、多分もっと多くの他の男性とも付き合っている。

 これは中傷でもなんでもなく、彼女が「生きていく私」の中で明かしている事です。初めてこの本を読んだ時、私はまだ若く、そんなにもてもてなんて、うらやましい、と思いました。それだけたくさんの男性を、ひきつけられるなんて、興味深い。

 で、彼女の写真をみてみると、確かに美人。彼女自身は、「世間は自分のお化粧した顔にだまされている」と思っていたようですが、でもお化粧だけで、美人を作るのは中々難しい。やはり化粧映えのする整った顔立ちだったのでしょう。

宇野千代の好きな桜

 そして「生きていく私」を読んでみればわかるのですが、どんな時も自分の好意をかくさない。「女の自分からなんて恥ずかしい」とか「相手の気持ちがわからないから…」とか、そんなうじうじは一切なし。

 こんなにさっさと相手の誘いにのったら、軽い女だと思われて、本気になってもらえなさそう、そんな女性によくある駆け引きもありません。美人な上に、情熱的、まあもてますよね。

男性遍歴以外でも

 しかも、山あり谷ありは、男性関係のみならず、生活、仕事の面もまたしかり。普通の主婦をしながら応募した懸賞小説で当選し、家を出て小説家に。

 盛大にお金を稼ぎながら、いつも借金におわれる。会社を経営してゴージャスな生活をしていたと思ったら倒産。文筆家の仕事のかたわら、着物デザイナーを始めてアメリカでファッションショーをする。

 もちろん戦争を経験した世代ですから、空襲だの食料難だの戦争の苦労もしている。

 その末に書いた「生きていく私」。80歳位の時、パーティーに、自分でデザインした桜の柄の大振袖を着て出席したとか。

 「振袖は結婚前の若い女性しか着てはいけない」なんてくらいのタブー、それだけ奔放に生きた彼女にしてみたら、どうって事もなかったでしょう。

自由奔放なようでいて、実は「おはん」

宇野千代の好きな桜

 しかし「生きていく私」を読んで気づくのは、いつも男性に、あれもこれもとつくしながら、最後は捨てられる形で別れてしまう、という事。

 わかりますよね。いつの時代でも、あまりつくしすぎると、男性に大切にしてもらいにくい。男性に甘え、手をかけさせる女性の方が大切にされる。

 「オレがいなかったら、この女はダメかも。」と思わせる事が大切、なんて女性向け恋愛教本には書かれていたりしますが、宇野千代という人は、自分でお金を稼ぎ、困ったはめに陥ってもなんとかはい上がり、「オレがいなくても、この女は大丈夫。」と、まあどんな男性も思ってしまいそう。

 宇野千代作で、「生きていく私」以外に読んだのは「おはん」と言いましたが、これは映画化された作品です。

 おはん、というのは女性の名前。おはんは夫が他の女性と浮気すると、身ごもっている事も告げず、だまって見をひく。その後、また子供をきっかけに元夫とよりが戻りかけるけど、もう一人の女性に強く出られるとやはり、おとなしく身をひく。

 日本の昔のおとなしい女性、という感じで、一見、思うがままに、一生を駆け抜けた宇野千代とは、正反対のように思える。けれど、実はおはんと、宇野千代は似ているような気もします。

 「他の女が好きになった。」と言われたら、黙って身を引く。心変わりした男にからみついて引き留めても、幸せにはなれないような気もするし、いや、そんな時無理やり自分の方を向かせる女がいつの時代でも得をするような気もする。

 とにかく潔い。あざとさや計算高さはない。そのせいで損をしているようにも思える。

与える事

 でも最近よく言われるのは、幸せになりたいのなら人に与えなさい、という事。ギブ&テイクのテイクばかりする人は得しているようにみえて、決してそうではない、幸せにもなれない。成功者で心が安定している人は、みなギブを多くする人なのだと。

 宇野千代は徹底的に、ギブしまくった、「生きていく私」読んでいるとそんな感想を持ちます。それで時々男に捨てられ、損したようにも見える。

 でも「生きている私」を執筆していた、多分80代の頃、心が平安で幸福だったのが、読んでいるとわかります。

 どうしたら幸せになれるのか、その答えが少しわかるような本です。

料理も好き

着物のデザインのみならず、料理が好きでレシピ本も何冊かだしています。

↓でも書いています

カレーの目先を変えて

https://renagarden.com/single-m-curry/

とにかく疲れを知らない、と言っていいような方だったのでしょうか。亡くなる時は、長い闘病などとは無縁に静かで安らかだったようです。

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